緑内障
緑内障は、目の奥にある視神経が眼圧によって圧迫・障害され、視野が狭くなったり視力が低下する疾患で、見えない場所(暗点)が出現したり、見える範囲(視野)が狭くなったりします。初期から中期には視力が良いので異常に気づくのが遅れやすく、しかも気づいた時には既に視野が狭くなっていることも少なくありません。病気の進行とともに視力は低下し、最悪の場合は、失明に至るケースもあります。現在、日本国内での中途失明(それまで見えていたのに見えなくなる)原因の第1位とされています。
20年ほど前まで眼圧が20mmHgを超える目を緑内障とする考え方が一般的でした。しかし、現在では緑内障というのは眼圧がある一定以上の値になることではなく、その人の視神経が眼圧に堪えられなくなった状態を緑内障とする考え方に変わってきました。視神経の構造が弱い人は低い眼圧でも緑内障になり、強い人は眼圧が高くても緑内障にはならないのです。つまり、すべての人に共通する眼圧の正常値というものは存在しません。眼科医は患者さんの視神経の状態や検査結果を見てそれぞれの患者さんにコントロールの目標となる眼圧を決めて経過を見ていきます。ただし、以前、正常値と考えられていた眼圧20mmHg以下で緑内障を発症している場合、正常眼圧緑内障と呼んでいます。
虹彩(こうさい)の裏にある毛様体(もうようたい)という組織から分泌される、栄養分を含んだ液のことを房水(ぼうすい)と言います。この房水の出口(隅角)の障害により、眼内に房水が貯まり過ぎ、眼圧(眼球内圧)が異常に高くなることによって視神経がダメージを受けるのです。
緑内障は、タイプによっていくつかに分けられます。
房水が流れにくくなる原因や場所が異なるため、治療法もそれぞれ異なってきます。
視力検査や眼圧検査、眼底検査(目の奥にある網膜の状態を調べる)、視野検査(目で見える範囲や敏感さを調べる)、光干渉断層計検査(網膜の断面を見て、新しい血管が無いかを調べる)、隅角検査(眼球の水分の状態から緑内障のタイプを調べる)などが行われます。
まず薬物(点眼薬)で眼圧を下げる治療が行われます。点眼薬には、房水の産生を減らす薬と房水の流出を促進させる薬があります。眼圧が下がりにくい場合には、点眼薬を2~3種類併用することもあります。薬でうまく治療できないようなケースでは、レーザー治療や手術によって房水がよく流れるようにすることがあります。