視能訓練士について
当院では毎月2回、視能訓練士の先生が来て、検診などを行います(完全予約制)。
視能訓練士とは、「視能訓練士法」に基づく国家資格をもった医療技術者で、眼科で医師の指示のもとに視能検査を行ったり、斜視や弱視の訓練治療に携わったりしています。
視機能が十分でない方に、ロービジョンケア(現在の眼の機能を最大限に活用するような支援)を行い、また必要な補助具を選定し、その使い方を指導します。
学校での色覚検査が、平成15年度から廃止されました。その結果、進学・就職の時期までに「色覚異常」を自覚せずにいた生徒が、希望する道に進めないケースが散見されるようになり、平成28年4月から再度、学校で色覚検査が行われるようになりました。
色覚検査は、小学生であれば正確な診断が可能ですので、特に家族や親戚に色覚異常の方がいらっしゃる場合は、一度詳しい検査をお受けになるようお勧めいたします。
色覚異常は特定の色に関する識別能力が低下している状態で、先天性と後天性の2種類があります。
後天色覚異常とは、眼の疾患(視神経疾患、網膜疾患等)や頭蓋内疾患(脳梗塞や脳腫瘍等)などにより起こるタイプです。この場合は、もとにある病気自体が治療対象となり、色覚異常が全面に出ることはありませんので、ここでは先天色覚異常について説明します。
先天色覚異常とは、網膜上にある視細胞(光を感じ取る細胞)の色を識別する機能がうまく働かない状態で、原因は遺伝的なものです。先天色覚異常は、日本人男性の5%、女性の0.2%の頻度で生じており、決して稀なものではありません。
この先天色覚異常にも、いろいろなタイプがあります。あらゆる色は光の3原色(赤、緑、青)の3つの光の組み合わせでつくられますが、視細胞も、赤に敏感なタイプ、緑に敏感なタイプ、そして青に敏感なタイプの3種類があります。色覚異常は、この3種類の視細胞のどれかが足りなかったり、十分に機能しなかったりするために起こります。
そして、3種類の視細胞のうち、どれか一つが欠けているタイプを「2色覚」(色盲)と言い(色盲と聞くと、色が全くわからないものと誤解されがちですが、そうしたことはまずありません)、視細胞は3種類あっても、そのうちどれかの機能が低下しているタイプを「異常3色覚」(色弱)と言います。
また、色覚異常には程度の差があり、同じタイプでも軽度から重度まで様々です。重度の場合は、幼少時から他人と色の感じ方が違うことを本人も自覚していることが多いのですが、軽度の場合は全く気づいていないケースも珍しくありません。かつては小学4年生全員に色覚検査が行われていましたが、平成15年度以来、必須の検査項目から外されていました。しかし、平成28年度から再び多くの小学校で、希望者を対象に色覚検査表(仮性同色表)による検査(色のモザイクの中から浮かび上がった数字や記号を読み取る検査)が実施されるようになりました。
さて、色覚異常の治療についてですが、現代医学では治すことはできません。ただ、色覚異常は、そもそも色の見え方が他人と異なるというだけのことです。悪化する心配もありません。
とは言え、色による判別をしいられる場面などでは失敗も起こると思われますので、子どもさんには、日頃から色だけで判断しない習慣を身につけさせておくことが大切になります。遺伝的に、また日頃の様子から色覚異常が疑われるようなら眼科医に相談し、きちんと検査を受けることをお勧めいたします。
また、将来次のような職業に就きたいと思っているお子さんも色覚検査を受けておくことをおすすめします。