最近の学会から
2024.05.08
昨年、令和5年にこども家庭庁が発足したことをご存知の方も多いのではないでしょうか。少子化対策に取り組む政府は「こどもまんなか社会」をスローガンにこどもを守り育てる政策を打ち出しています。
これを機に、日本眼科医会は6月10日を「子供の目の日」として記念日にするように提案し、こども家庭庁発足と同じ昨年、日本記念日協会に認められました。
赤ちゃんの目は生まれたばかりの時はあまり見えていません。からだの成長と共に物を見る刺激を受けることで視力も成長していきます。
ところが、生まれたばかりの時に目に病気があって光が目の中に届かない、斜視がある、強い遠視があるなどの理由で物をきちんと見る刺激が受けられず、視力が成長しないことがあります。この状態を「弱視」と呼びます。
こどもの視力の発達は期限があって、小学校入学の7才ぐらいまでで終わってしまうとされています。弱視のお子さんは発見次第すぐに治療を開始しないと視力の発達が間に合わないことがあります。
日本眼科医会は「はぐくもう!6才までに視力1.0」を目標に活動しています。
「6才までに視力1.0」ここから6月10日を子供の目の日とすることになりました。
目に病気があると瞳や黒目が白く見えるといった症状が出ます。斜視もお父さん、お母さんが早期に気づきやすく、異常を感じたら早めに眼科を受診してください。
ところが、遠視などの屈折異常はなかなか気づくことができません。そこで最近は3歳児健診でスポット・ビジョン・スクリーナー(SVS)を用いた健診が普及してきました。数メートル離れたところからお子さんに動く画像を見てもらいます。それだけで強い屈折異常をこの機械は検出することができます。
令和4年度に国の補助が受けられるようになって多くの自治体でSVSの導入が進み、これを読んでいるお父さん、お母さんのお子さんも受けたかもしれません。
3歳児健診で目の異常を指摘されたら早めに眼科を受診してください。詳しい検査を受けた後、弱視治療の第一歩としてまず眼鏡を作ります。弱視治療を目的とした眼鏡は医療保険で作ることができますのでご相談ください。
眼鏡を使いながら視力を伸ばす訓練をしていきます。このときに活躍するのが視能訓練士です。国家資格を持っており、定期的に検査や訓練をしながら6才までに1.0の視力が出るようにお子さんの目の成長を助けていきます。視能訓練士の検査は当院では予約制になっていますので、あらかじめ電話で予約をお願いいたします。
目の病気や斜視、屈折異常で弱視になるお子さんが少なくなるような体制が整えられてきています。それを記念する日、6月10日の「子供の目の日」を10月10日の「目の愛護デー」とともに多くの方に知っていただけることを願っています。